もんたん
大きくて存在感のあるメインクーン。でもその陶製の箱はとても小さくて軽く、彼が手の届かない所に旅立って行ったことを物語っていました。

2000年生まれ、18歳と半年。私が初めて一緒に暮らした猫でした。
優しくて穏やかで、海外へ引っ越した時も初日からリラックスするほど大胆な性格。
いつでも私の特別な存在だったのです。
9年来の糖尿病に加え、老いにつれ腎臓や心臓も悪くなり、世話の時間も増えたけれど、一緒にいられることが幸せでした。
おぼつかない足取りで私の側に寄り添い、もう見えていない目でジッと見つめられると、仔猫の頃よりなおいっそう愛おしい気持ちがこみ上げてきたものです。
毎日の投薬やインシュリンの注射、身体を拭き、歯磨きをして…もうできないことがこんなに寂しいなんて、想像していませんでした。

ある朝、痙攣が彼を襲い、診療時間前の病院に駆け込みました。原因は心臓でできた血栓。長い1日の末、最期は自宅で看取ることに決めました。
翌日の夜遅く、意識が朦朧としていた「もんたん」は、一瞬まっすぐこちらを見つめ、その後力なく、ぐったりと…。
しかし、その時が来たとは私には思えなかったのです。彼の身体はいつまでも温かくて柔らかくて。慌てて獣医さんに連絡し状況を話すと、「もう亡くなっていますよ。」と。
8月最後の日のことでした。
翌日、私は彼を連れて動物病院へ行きました。そこで火葬の手配をし、2週間ほどで戻ってくることに。
そして、今私の手元に小さな箱が残されました。

私の大切な「もんたん」 。
虹の橋を渡って行ったあなたのことが、愛しくて愛しくてたまりません。
18年間ずっと一緒にいてくれて、ありがとう。
でも、叶うならもっと一緒にいたかった…。
思い出すと未だに涙は出るけれど、あなたとの出会いは私の宝物です。